くらげ travel

ちょっと気が向いたので、旅行記を。

2020年最大の危機

いろいろすっ飛ばして、ヨーロッパ旅行中の最大の思い出を書こうと思う。

ロンドンからミュンヘンまでのフライト前日、一応フライト時間を確認しようと思ってメールを開いた、
そこには一通のメールが届いていた。
「明日のフライト、欠航になりました。朝6時半発のフライト再予約しました。」
………………………?????
意味がわからない。ロンドン滞在中、あの雨と曇りで有名なロンドンに滞在中、一度も雨や曇りにならずむしろ快晴だったのに、今さら欠航なんてあり得ない。
しかもお昼真っ只中の12時発のフライトなのに。
あと6時半発ってどういうこと?ホテルを3時か4時に出ろって?いくらなんでも無理じゃない?電車動いてる?

こんな嘘みたいなメールが信じられるはずもなく、私は
「信じられないから最初に予約していた12時発のフライトの、オンラインチェックインをしよう」
と思い立った。オンラインチェックインをすればフライトには乗れるから。

しかし、システムというのは優秀で、航空会社のサイトにログインしたとたん、また「予約していたフライト、欠航になりました」と出てきた。嘘ではなく本当のことだった。だが、よく読むと「再予約のフライトは変更できます」と書いてある。候補は9時、17時、22時。微妙にもほどがある。17時と22時のフライトだとミュンヘンにつくのが日没後になる。ちょっと危険。9時ならまあ頑張れば早起きできる時間だし6時半発よりは遅起きできるし、これにしよ。これ以上欠航とか嫌だから先にチェックインして、チケットは紙で欲しいからチケットだけは空港で発券しよ。
という感じで前日はいい感じに終わった。

フライト当日。24時間オープンの受付とはいえ、6時半にチェックアウトするのは忍びないが、だかしかしこちらにはフライトが待っている。申し訳なく受付の方に挨拶をし、チェックアウトを済ませる。
冬のロンドンの日照時間なんてたかが知れてる。真っ暗。駅から徒歩2分のとこに泊まっててよかった。とかなんとか思いながら20kgのにスーツケースをごろごろして駅に向かう。
予定どおり6時40分の電車に乗って、このまま7時半には空港につく。

はずだった。

空港まであと30分くらい、といった頃合いに、電車が止まった。ある駅で止まってドアが開いたあと、動かないのだ。ヨーロッパで電車が遅れるなんてよくあるし、そんなに気に止めなかった。
止まってから5分後。なんか英語でアナウンスしてるけど乗客全員気にとめてなさそう。
止まってから15分後。「▶▼▧▫♪♨⑳¬<÷⁄……。コントローラーが壊れた。いつ動くかわかりません。」
ちょっと状況がよく飲み込めない。だけどほとんどの乗客がホームに降りて改札を出ようとしている。こういうときはおとなしく大勢に従ったほうがいい。
出たのはいいけど、セントラルロンドンの外、知らない土地の知らない町の、知らない駅に一人ほっぽりだされた私。バスもないし、ましてタクシーとかは流しでいない。
空港まで直通の電車で、こんな朝早い時間にスーツケースを持って乗ってる人たちなんて決まっている。全員空港に行く人たち。しかもフライトのため一刻を争う。言葉が通じる人どうしとか、友達どうしとかで、皆どうやって空港にまで行こうかと相談していた。どうやらバスを待ったりUberを呼んだりしているみたい。
「じゃあ私も誰か良さそうな人を誘ってUber呼ぼ」と思って一人でいた女の人に声を掛けようとした。
そのとき、さーっと車が1台止まった。2人組の女の子が乗り込もうとして、私が声を掛けようとした目の前にいる女の人もその女の子に声を掛けて乗り込もうとしている。これがUberみたい。
これで私も声を掛けなかったらどうなるんだ?!
もはや後先考えず、「私も乗せて」と声を掛けていた。
女の子たちはすぐに承諾してくれた。だけどUberの運転手のおじさんが難色を示した。そりゃそうだよね、だって2人でUber呼んでるのに4人で乗ろうとしてるんだもん。Uberは前払いだし、要は単価が落ちる。
私も必死で「お願い!乗せて!」って言うし、Uber呼んだ女の子も「いいじゃない、あとまだ2人分の席が空いてるじゃない!」と言い張ってくれて、私も乗れることになった。
この時、実はUber呼んだ女の子に「ターミナル4に行く?」と聞かれていた。私はターミナル5だったけど、ここでターミナル4じゃないって言って乗れなかったらどうなる。空港に行きさえすればどうにかなると思って「ターミナル4」と言ってしまった。あとであんな大変な目にあうとは知らずに。

無事乗ったのもつかの間。このときフライトまで2時間を切っていた。いつごろつくんだろうと思い、グーグルマップを開いて現在地を表示する。青いマークがものすごい勢いで東に進み、このおじさんどんだけかっ飛ばすんだろうとか思いながら爆速で進むマークを追っていた。だいたい45分くらい経ったころ、無事Uberは空港のターミナル4についた。お金を払うつもりでいたけど、Uberは前払いだし、みんなフライトが迫ってるのもあって、Uber呼んだ女の子2人組はなにも言わず、私も「本当にありがとう!!!」と言っていたらお金を払わずじまいになってしまった。あのときは本当にどうもありがとう。

さて、ここからターミナル5に行かなければならない。Uberに乗ってる間に調べておいた。巡回バスがあるみたい。バス乗り場を探して手当たり次第に聞いて回った。
5分くらいでバス停が見つかったものの、フライトまで1時間半を切っている。5分待っても来ない。10分、20分。まだ来ない。しびれを切らして近くにいる係員にいつくる?って聞いたけど、もうすぐ来るとしか言わない。あんまり来ないもんだから、「私ずっと待ってるんだけど、全然バスが来ないんだけど!?!?」って言ったらしぶしぶ調べてくれて「あと13分で来るよ」と言われた。あと13分?!フライトまで30分を切ってしまう。でもここから余計に動いて時間をロスして飛行機乗れなかったら元も子もない。
と思ってあと13分待つことを決めたら、一人のおじさんが声を掛けてくれた。
おじさん:バス待ってるの?何時のフライト?
私:バスがね、全然来ないの。私、9時発のフライトに乗るの。
おじさん:9時か……タクシー乗ったほうがいいんじゃないかな?
とここまで話していたら、しぶしぶバスの時間を調べてくれた係員のおじさんがこの話を聞いていたらしく、「9時発ならタクシーだ」と言いきってタクシー乗り場まで連れていってくれて、タクシー乗り場の係員のお姉さんに話をつけてくれた。

お姉さんに連れられてタクシーに乗せてもらい、タクシー運転手のお兄さんには「ターミナル5に行くの!すっごく急いでるの!!!」と心の底から思いを込めて叫んだ。
お兄さん、とっても優しくてあと10分でつくから、あと10分だよ、あっちがターミナル5だよ、あと5分だよ、入り口に横付けしてあげるからね!ってしゃべってくれた。感謝。
その間、チケット発券で時間をとられるのを防ぐべく、どうにかこうにかチケットを手にする方法を模索し、アプリをダウンロードし、ログインし、電子チケットを手に入れた。偉いと思う。
10分後。お兄さんは本当にターミナル5の入り口に横付けしてくれた。お金を払って、ありがとう~~って叫びながらフライトまであと30分の所でターミナル5についた。
一番最初に見つけたグランドスタッフのお姉さんにバックドロップの場所を教えてもらい、急いでバックドロップして、フライトまであと20分のところでセキュリティチェックをパスした…はずだった。

国際線に乗るときは液体物の持ち込み制限がある。日本だと係員がx線検査の前にチェックしてくれるけど、海外だと液体物の袋を鞄からだして、一緒にx線検査を受ける。このことを知らずに、液体物を鞄に入れたままでもいいと思ってしまい、見事に検査に引っ掛かった。半分くらいの人が引っ掛かってたから知らない人も多いんだと思う。
引っ掛かった人はみんなフライトが迫ってるからちょっとイライラしてる。早くしてくれって係員に言って、係員からそうね、でもチェックしないといけないから、こうなったのはあなたのせいよとあしらわれてる人もいた。
私の前に荷物のチェックを受ける人が5人いて、私の分のチェックが始まったのは15分後。手のあいたお姉さんが私の分のチェックを早く始めてくれた。液体物は鞄の外にだしておかないとダメよってそこで教えてくれた。

フライトまであと5分。ようやくセキュリティチェックが終わり、また近くにいた係員を捕まえてこにゲートどこですかー?!って聞いて、空港中を走り回り、9時ちょうどにゲートの一番最後に乗り込む人たちの一番最後尾に紛れ込んだ。たぶんゲートが開くのが遅くて、まだ全員乗ってない状況だった。

座席に座ったとたん、私のロンドンの思い出、これが全てだわ…って思った。
(ちなみに、日本だと飛行機にはチケットに書いてある決められた座席に座るけど、ヨーロッパじゃその辺適当。ロンドンからミュンヘンに行くときも、飛行機の指定の座席に座ろうとしたら違う人が座ってて「お母さんと一緒に座りたいから君は僕の席に座って」とか言われた。そのあとも何度が席を立たされたり移動させられたりしたけど、CAさんはなにも言ってこなかった。乗客が自由に席を交換してもいいらしい。ちょっとこちらとしては腑に落ちないけど。)